突然の遺産相続で空き家を管理することになったものの、維持費がかかりすぎるため解体工事を検討するというケースは珍しくありません。
しかし、実際に解体を終えてみると、トラブル続きで余計大変だったという人もいます。
単純に考えると建物を壊すだけなのに、なぜトラブルが起きてしまうのでしょうか。
本記事では「こんなに大変なら、事前に知っておきたかった」と後悔する前に、解体工事で起こるトラブルについて説明します。
「これから相続で実家の土地と家をもらうかもしれない」という方や、現在、空き家の維持費がかかりすぎて解体工事を検討しているという方は、本記事を参考にしてみませんか。
解体工事のトラブルその1:費用の捻出を検討していない
解体工事で起こるトラブルの1つ目は、費用の捻出を検討していないことです。
一般的な相場で、解体工事費用は約200万円前後かかります。
安く見積もっても、最低で100万円は考えていた方が良いという人もいます。
理由としては、解体工事には専門の業者に依頼しなければいけないからです。
家を建てる時のことを考えてみてください。
借り地の場合もありますが、不動産屋で土地の代金を支払います。
次に家を建てるための建築費用を業者に支払います。
それは、各種人件費や材料費などがかかるので当たり前です。
逆に解体する場合は、壊すだけなので自分でもできるという人もいます。
確かに、放っておいても空き家は老朽化で崩れていきますが、残骸は残ります。
その残骸を処理するためには、当然ですが専門の業者に処理を依頼しなければいけません。
ましてや壊れる前の建物であれば、解体工事の業者への依頼が必須になります。
当たり前ですが、解体工事をする場合も、解体機器や作業員の人件費などがかかります。
地方によっては解体工事の補助金を利用することで安くすることは可能です。
家屋の状態により金額は違いますが、概算で数十万円の費用を捻出しなければいけません。
お金に余裕がある人であれば良いですが、普通の人がいきなり数十万円を払えと言われてもすぐに払えるものではありません。
費用の捻出が大変なので、他の兄弟姉妹に捻出の相談をするケースも珍しくありません。
しかし、「あなたが相続したんだから」とけんもホロロに言われ、トラブルに発展することもあります。
事前にできる対処法としては、解体工事費用を視野に入れておくことです。
また、空き家と土地を相続する可能性がある場合は、兄弟姉妹で解体工事の費用について相談しておくことも大切です。
解体工事のトラブルその2:近隣住民への配慮が足りない
解体工事で起こるトラブルの2つ目は、近隣住民への配慮が足りないことです。
建物は空気の中から出てきて、溶け込むように消えていくわけではありません。
ある程度の期間で、土台からしっかりと建てていきます。
やがて年月を重ね、住む人もなく空き家になると、人はいないのに家だけが異様な存在感を示します。
小学生からは幽霊屋敷と呼ばれたり、庭で伸び放題になった草木のみが元気ということも珍しくありません。
また、いつの間にか不法投棄の温床になり、カラスや野良猫の住処になる場合もあります。
壊す前ですら、近隣住民とのトラブルになる可能性はあります。
解体工事は一過性のものですが、周辺への騒音や壊す際の粉塵などトラブルの原因はいくつもあります。
相続で空き家と土地をもらったけれど、解体後に手放すならば工事期間の対応のみで良いですが、開いた土地に新築して住む場合などは、きちんとした近隣への挨拶が重要です。
事前にできる対応としては、いつの期間にどの時間帯で解体工事を行うのか、近隣に挨拶回りをしておくことです。
そんな時間がないという場合は、工事期間について書かれた紙をポスティングするなどの方法もあります。
解体業者によっては、事前にポスティングを行ってくれる場合もあります。
どこまで料金内でやってくれるのか、解体業者と話し合っておくことも大切です。
解体工事のトラブル その3:解体業者選定がうまくいかない
解体工事で起こるトラブルの3つ目は、解体業者選定がうまくいかないことです。
こればかりは、実際に依頼してみないことには何とも言えないのが現実です。
しかし、解体工事の経験者に話を聞くことは可能です。
例えば実家を解体工事してもらった友人がいれば聞きやすいでしょうし、口コミや実績を公表している解体工事の業者のホームページ等をチェックするのもありです。
きちんとチェックすることも大切ですが、絶対に損はしないとばかりにピリピリとするよりは、ある程度損をしても結果的に解体できるのだから良いと考える方が、後々トラブルに発展しづらくなります。
最近では少なくなりましたが、解体工事業者によっては、ぶっきらぼうで客を客とも思わない従業員がいる場合もあります。
最初から関わらなければ問題ありませんし、造るのではなく壊すのが解体です。
多少荒っぽい方が、解体工事が早く終わる可能性もあります。
どうしても解体工事業者との相性が悪いと感じた時は、数社で相見積もりをとるなどの対処法があります。
解体工事のトラブルその4:解体工事後の利用目的
解体工事で起こるトラブルの4つ目は、終了後の利用目的です。
特に遺産相続で空き家を管理後、解体工事をすることになった場合に起こりうるトラブルです。
解体工事をするときに費用を全く出そうとしなかった兄弟姉妹が、いざ残った土地を売る際に、予想以上の高額になったため自分の取り分を主張するトラブルです。
兄弟姉妹からすれば、押し付けたはずの負の遺産が宝の山だったのですから、分け前をもらいたいのは人情です。
また、解体工事語土地にアパートを建てたり駐車場にして、固定収入を得られるようになった際、分け前が欲しいと言ってくるケースも少なからずあります。
このようなトラブルを回避するためには、相続時に念書を取っておくなどの対応策があります。
念書を取っておいても、いざその段階になると、あれやこれやと言ってくる場合もあります。
トラブルにならないためには、こうなったらこうするという対応策を、事前に話し合って決めておく必要があります。
事前対応でトラブルの起こりにくい解体工事を!
いかがでしたか。
解体工事で起こりやすいトラブルについて説明させていただきました。
トラブルの多くは、きちんと取り決めをしていなかったことがほとんどです。
事前に話し合っておけば、問題なく円満に解体工事が完了することも多々あります。
特に解体が必要な空き家などを管理しなければいけなくなるのは、遺産相続がほとんどです。
自分が気に入って購入した空き家であれば、リフォームしてそこに住むなどの選択肢があります。
しかし、今現在の生活があるのに、突然、空き家をもらっても管理するのが大変ですし、解体という選択肢を選ぶ場合がほとんどです。
もちろん、親や兄弟姉妹との思い出があるので管理維持していくというのも選択肢の1つです。
解体工事は、余程の秘境に一軒家があることを除き、自分だけではなく周辺住民や作業員など人と人が関わります。
解体工事の事前準備をしていても、何らかのトラブルが起こる可能性はゼロではありません。
トラブルが起こるかもとビクビクするよりは、「どんな結果になっても今回の解体業者にお願いする」という気持ちの方が、結果的にうまくいくのではないでしょうか。
コメント